期間工がきついという理由は肉体労働だからです。でも、肉体労働のきつさに匹敵する精神的なつらさもあります。
この記事では、トヨタの期間工を経験したからこそ知っている、期間工のきつさについて解説します。
期間工はどれくらいきつい?
期間工がどれくらいきついか…というと、他の肉体労働と比べても同じくらいに「きつい」と感じるレベルです。
学生時代のバイトも含めて、肉体労働をいろいろ経験しているので比較してみました。
| 仕事・作業 | きつい度 |
|---|---|
| 佐川急便ターミナル 夜間仕分け | 10 |
| インターロッキング施工 補助 | 10 |
| 建設現場の架設 解体 | 9 |
| トヨタ自動車 期間工 | 8 |
| コンサート会場 設営 | 7 |
| 山崎製パン工場 夜勤 | 7 |
トヨタ自動車 期間工のきつさは、仕事に慣れてしまえば10段階で8くらいの感じです。
佐川急便や建設現場の元請けゼネコンは名の知れた大企業ですが、現場では人の扱い方がけっこう雑で荒く、仕事も筋力が必要なため9~10です。これらは二度とやりたくありません。
それに比べてトヨタの期間工は、与えられた作業をタクトタイムで定量でこなせばよく、求めらるのは持久力です。慣れるまでは9くらいのきつさに感じますが、慣れてしまえばやっぱり8くらいかなという気がします。
実際に倒れた人がいた
肉体労働の経験があってもきついと感じます。肉体労働の経験が無い人にとっては、相当きついはずです。
4月に入って、となりの課のラインに新入社員っぽい高卒くらいの男子が入って作業しているのが見えました。期間工のOJTとは明らかに雰囲気が違うので、新入社員の工場実習(ライン体験)みたいなやつかな?と思いました。
数日後、黙々とライン作業をしていると、
べたん!
と音がして、とっさにそっちの方を見ると…その新入社員っぽい男子が床に倒れていました。すぐにとなりの課の人たちが駆け寄って救護していました。当然、ラインも停止しました。
もしかすると、肉体労働の経験が無かったのかもしれません。もしそうなら、自動車工場のライン作業は相当きついはずです。
私は肉体労働の経験がありましたが、それでもきついと感じるくらいです。未経験者なら、倒れても不思議ではありません。
期間工はなぜきつい?その理由
期間工がなぜ「きつい」のか。その理由は、肉体労働だからということに間違いありません。
私が配属されたのはトランスミッションASSY組付けラインでしたが、このライン特有のきつさがありました。(※ASSYとは部品が組付けられたユニット一式のことです。私が担当するASSYはトランスミッションのアルミケースでした。)
- タクトタイムに追われてきつい
- 勤務時間を歩きっぱなしできつい
- 夜勤がきつい
肉体的にどんなきつさがあるのかというのを、トヨタの期間工の経験から解説します。
タクトタイムに追われてきつい
働き始めの頃はタクトタイムに追われるのがきついです。
ラインのタクトタイムは約60秒。
- クラッチディスク3枚を手に取り、アルミケースに手を突っ込んで手探りで組付ける。
- アルミケースを引っ張って移動し、液状ガスケットの塗布機械にセットしてスイッチを押す。
- 背後のラインにまわって部品をセットしてスイッチを押す。
- 隣の機械に移動して部品をセットしてスイッチを押し、元のラインにまわって戻る。
この作業を60秒で行って、それを延々と繰り返します。
クラッチディスクの組付けは、アルミケースの上の穴から手を入れて、手探りで手の感覚だけで組付けます。この作業に慣れるまで時間がかかってしまって、ラインを急ぎ足でまわる状況が続きました。
あと、アルミケースがかなり重くて(たぶん100kg近くある)、移動するときは両手で体重をかけて引っ張る必要があり、これも体力を削られました。
7時間35分を歩きっぱなしできつい
重い物を持ち上げたりすることが無いかわりに、私の担当したラインでは勤務時間7時間35分をずっと歩き続けるのがきついです。
では、いったい1日にどのくらい歩いているのか。
人は1時間に4km歩けるので、これを前提にすると…ラインのタクトタイムのうち歩いている時間が半分だとして1時間に2km。それを7時間35分つづけると、1日15km歩いている計算になります。
どおりで足全体が痛くなるほど疲れるわけです。
働き始めの頃は、この足の痛みが一番つらかったです。寮に戻って浴場の湯につかりながら自分でよくマッサージしていました。「この仕事、ちょっと無理かもな。逃げようかな。」と本気で考えたりもしたものです。
でも安心してください。1か月も経てば体が慣れてきます。
2交替制で夜勤がきつい
トヨタの期間工は、1直(日勤)と2直(夜勤)の2交替制です。2直(夜勤)はいつまでたっても体が慣れず、体力的にきつかったです。

1直(日勤)の生活はちょっと朝が早いくらいで、15時に終業するので気分的にハッピーです。それに比べて、2直(夜勤)はどうしてもしんどい気分になりました。
1直と2直は1週間ごとに交替します。週末に昼夜逆転の生活に切り替えて夜勤に備えるのですが、頭では分かっていても体にはだいぶ無理がある感じがしました。
明るい時間に寝ることについては、意外と寝れるものでした。たぶん体の疲れが眠気になるんだろうと思います。
期間工でつらいと感じたこと
期間工が肉体労働できついというのは、想像が付くとおりです。しかし、単純作業の「つらさ」があることは予想できないかもしれません。
私が配属されたトランスミッションASSY組付けラインでは、タクトタイム60秒の作業をひたすら繰り返します。そこには単純作業ゆえの独特のつらさがありました。
- 時間の経過が遅くてつらい
- 頭を使うことが無くてつらい
- 2直で残業が確定するとつらい
ラインの期間工経験者なら、このつらさを分かってくれると思います。
時間の経過が遅くてつらい
ラインの単純作業では、時間の経過が体感よりもかなり遅くなります。これに慣れることはなく、辞めるまでつらかったです。
期間工としてラインに入った初日に、こんな経験をしました。
教えられたとおりに作業を黙々とこなし、タクトタイムに追われながら「疲れてきたな」と思ったころです。「そろそろ1時間くらい経ったよな…」と思って、工場の時計を見て愕然としました。
15分しか経ってなかった。
「ウソだろ!?」と声が出そうになりました。時計が止まってんのかなと思いました。
ラインの単純作業の恐ろしさはここにあります。時間が一向に過ぎていかない、時計がぜんぜん進まない…という不思議な現象に苦しみます。
頭を使うことが無くてつらい
ラインの単純作業というのは、体が覚えてしまえば頭がとにかくヒマです。頭を使うことが無いというのはつらいことです。
なかなか進まない時間をごまかすために、何か考えごとをしようと思いました。
人生について。
ロボットみたいに働きながら人生について考える。だんだんバカバカしくなってきます。結局、ある境地にたどり着きます。
何も考えないようにする。← これが正解です。
しかし何も考えないようにするのも、またつらい。いったい、ヒマな頭をどうすりゃいいんだか…ぜんぜん分かりません!
そのくせ、ひとたび「水飲みたい」と頭を過ったら、もう水を飲みたくて飲みたくて気が狂いそうになります。過ったら終わりなのです。
2直で残業が確定するとつらい
私が働いていた時期は自動車の生産が落ち着いていた時期だったので基本的には残業が無いのですが、短時間の残業はちょいちょいありました。
ラインはときどき止まります。その分が残業になりました。たとえば1直で生産が遅れた分は、2直で取り返すことになります。そのため、2直で1~2時間の残業が発生することもありました。
2直の残業も、最初の頃は本当につらかったです。工場の時計を見ながら、「あと2時間」「あと1時間」と思って歩き続けてきたのに、終業間際に残業時間が掲示されたときの絶望感。
マラソンのゴールがずらされたような気分です。
ところが、これも3か月もすると慣れてきて、「今日は深夜残業か、稼がせてもらうか。」くらいに思えるようになります。
期間工のきつい工程は組立と塗装
自動車製造の期間工で、配属されるときつい工程は組立と塗装です。
| 項目 | 組立 | 塗装 |
|---|---|---|
| 作業環境 | ライン | 密閉ブース、高温多湿 |
| 負荷部位 | 関節・筋肉(全身) | 呼吸器・皮膚・自律神経 |
| きつい理由 | ・インパクトの振動と反動で腱鞘炎になる ・車体に潜ったり上を向いたり無理な姿勢になる |
・防護服の着用でサウナスーツを着ている状態になる ・防毒マスクの着用で呼吸しづらい |
| リスク | 腱鞘炎、腰痛 | 熱中症、有機溶剤中毒 |
同じ班の社員さんに、「このライン(トランスミッション組付け)って楽なほうですか?」と聞いたことがあります。すると「まあ、楽なほうだで。ボデーとか塗装とか、でらぁきついでなあ。」と言っていました。
組立は、自動車製造の中でも体力勝負の工程です。そのきつさは、人間工学的に不自然な体勢を繰り返すことによる姿勢の負荷にあります。インパクトレンチの振動と反動で腱鞘炎になるリスクも高いです。
塗装は、労働環境の面で負荷が大きい工程です。塗料ミストを吸わないようにするために、通気性の低い防護服と防毒マスクを着用して動き回るのでとにかく暑いです。あと、有機溶剤健康診断(半年に一度)を国から義務付けられています。
組立と塗装は、工場の社員さんにとっても既知のきつい工程というわけです。
よくある質問
Q. 期間工は何がきつい?
A. 肉体労働ならではのきつさがあります。配属された仕事によってきついと感じることは違ってきます。時間が経過しないという精神的なつらさもあります。
Q. 期間工はどこがきつい?
A. 自動車製造の工程のことで言えば、ボデーやシャシの組立がきついです。持ち上げたり、運んだりする物が大きくなるほど動作が大きくなって運動量が多くなり体力が奪われます。
Q. きつさをどう乗り越えた?
A. 体力的なきつさは、慣れることで乗り越えられます。いつまでも慣れないのは精神的なつらさです。つらいことを話せる相手、友達を作るのが期間工の仕事を楽にする良い方法だと思います。
まとめ
- トヨタ自動車 期間工のきつさは、仕事に慣れてしまえば10段階で8くらいの感じ。
- トヨタの期間工をやってきついと感じた理由は「タクトタイムに追われるから」「歩きっぱなしだから」「夜勤があるから」。
- トヨタの期間工をやってうらいと感じたのは「時間の経過が遅い」「頭を使うことが無い」「2直の残業」。
- 自動車製造の期間工のきつい工程は組立と塗装。

